踵の位置からペダリングを考える

踵の位置と効率的な入力範囲

昨日の踵の位置について備忘録として少し掘り下げて書いておこうと思う。高出力ペダリングにおいて、下死点付近での踵は少し下がって見える位が理想的だ。もちろん、下がりすぎてもいけない。踵が少し下がることがどうして重要かというと、ペダリングのサイクル中で最も出力が出せるのが下死点の少し手前の極狭い範囲だ。よく言われる時計に見立てての3時くらいから踏むというのは実はあまり効率が良くない。時計で言えば4時から5時半くらい、本当に力がでるのは4時半から5時半くらいのとても狭い範囲だ。もちろん、3時から踏み込み、引き脚も使って丸く回すのが最も出力が出るのだが、この使い方だと持続できる時間は短い時間に限られる。ロードレースということで言えば、2時間、3時間後も持続できる乗り方が必要なので、ここではそこは外して考えておく。

踏むより伸ばす、あるいは体重を乗せる感覚

体感的に言うと、4時半から5時半の踏み込みはあまり踏む感覚は無い。踏むよりも脚を伸ばす感覚が表現として近いだろう。ダンシングやスプリントの場合は体重を乗せた後に脚が跳ね返ってくる感覚だ。この脚の使い方だとハムストリング、臀部、腰回りの筋肉を中心に使い、前側の筋群やふくらはぎは殆ど使う意識は持たない。結果、疲労しにくく高出力を実現できる筋群だけで走ることになる。

踵の位置が少し下がる必要がある理由

踵の位置にまた話を戻すと、脚が伸びきる時、5時半過ぎのあたりで踵の位置が少しだけ下がり気味になると、伸びた脚に筋反射が起こり自然に脚が縮むサイクルに入ることが出来る。ここで無理に脚を後ろに回そうとしたり、引きつけようとするとせっかくの筋反射が弱まり、ペダリングの効率が落ちてしまう。この感覚が一番よくわかるのが先ほどもあげたダンシングやスプリント時だ。体重を適切に乗せてゆくと踵が落ち気味になった瞬間に脚が跳ね返ってくる。その連続がうまくつなげるとスムースかつ疲れずにダンシングし続けられる。スプリントの場合はうまく速度が乗る。この時に踵が高いままでも、落ちすぎてもいけない。適切な位置の範囲はかなり狭そうなのが、先日の経験でもわかった。

理想は正しく“歩く様”に自転車に乗ること

長時間、疲れずに走る、そのためには正しい歩き方の様に走りたい。踏み込みが効率的に行え、次の動きへとスムースにつながる。高出力を出していても、力む感じを持たずに走り続ける。身体全体が協調的に動き、疲労をためない。疲れやすい筋肉をできるだけ使わない。これを実現するための歩き方のメソッドも明確ではない、初動負荷理論の小山先生が本を書かれていたり、ロルフィングフェルデンクライス・メソッドといった理論にヒントがあるだけだ。自転車について体系化された知見はまだあまり無い。