初動負荷は本を読んでもわからない

初動負荷の言葉を知ったのは大分前で、おそらく何かの雑誌だと思う。マラソントライアスロンのトップアスリートの人の何人かが、新しいトレーニング理論に取り組んで、成果を上げているとのトピックだった。
「トレーニング革命」という唯一の理論本を手に取ってからも10年は経っていると思う。新しい着想に基づいたトレーニングを本で理解する、というのはほぼ不可能で。「共縮」「反射」といったいくつかのキーワードと良さそうだなという印象が残っただけだった。
当時の僕は、父親がガンを患っていたこともあり、オルタナティブ的な身体理論や技法(「野口整体」や「ラージャヨガ」「太極拳」等々)の実践や、情報摂取に熱心だった。トレーニング理論にもかかわらず、それらの理論ともあまりケンカをしなそうな所に好感を持った。
ある程度理解するためには、本では大事な所はモヤにつつまれたままで、実践することしかないと結論付けたのだが、鳥取まで出向くこともなく時間が経った。
たまたま、3年程前に、知り合いから東京に初動負荷トレーニングのできるジムが出来たことを知り、実践の機会を得ることになった。
実践して感じたのは、やはり情報と体験のギャップは大きい、ということと、身体の使い方を改めるには、意識の改造も含めとても時間かかりそうということだった。これまでの延長線上の意識や身体の動かし方で強度や精度を上げるのであれば、比較的入りやすいのだが、それとは大きく異なる癖を身体につけるには、時間もかかることになる。初動負荷がなかなか、理解されない(誤解される)のは、その面倒な時間をつきあって実践する人が少ないこともあるのだろう。